昨日のObama(オバマ)のベルリンのスピーチは、20万人以上人々が参加する、大きな政治的なシーンとなりました。ドイツでは本当に珍しい「USA」のチャント(掛け声)や星条旗が振られ、オバマキャンペーンのテーマ「Yes, We Can!」が叫ばれるなど、ベルリンの熱狂は、ブランデンブルク門の近くの戦勝記念公園にこだましたようです。
ドイツのDer Spiegelは、論説記事のヘッドラインに「No. 44 has spoken(44代目の大統領が話した)」と題して、まだ大統領として選ばれていないオバマを44代目の大統領として、大きく報道しています。記事では、米国とヨーロッパの意見や政策の違いを認めながら、連帯と協調を主張するオバマを、「彼は米国のみならず、世界の大統領を目指すほど野心的である。傲慢で世界を力で圧倒しようとするテキサススタイルのブッシュは昨日、誰もが世界を救うためにブラザーでありたいと思う"ユートピア"を目指すオバマは今日。」と語り、「25歳年上のマケインが勝つことは想像できない」と言い切り、「オバマの今後をヨーロッパは注意深く見つめていく」と結んでいます。
7月22日に発表されたThe Telegraphの調査によれば、ドイツ人の間では、オバマは67%、マケインは6%と、オバマは圧倒的な支持を取り付けています。
- オバマ支持:67%
- マケイン支持:6%
この数字は今後さらに上昇すると思いますが、今回のオバマのドイツ訪問は、有名な1963年のJFKの「Ich Bin Ein Berliner」のスピーチや、1987年のレーガンの「Tear Down This Wall」のスピーチに熱狂したドイツを思い起こさせます。
ただし、この「ベルリンの熱狂」と、米国の反応は、微妙な温度差があり、米国内では賛否両論の受け止められ方をしています。
- 多くのコメンテータは、これは、オバマの愛国心と人道主義のバランスがうまく取れたスピーチで、彼の最大の武器である「雄弁」を最大限に活かして、観衆を飽きさせる漠然としたテーマ(世界平和への連帯と協調、人種・宗教・民族による分離された壁の撤去など)を、真摯に受け止めさせて、成功を収めたと評価しています。
- ただし、「オバマの大統領候補ではなく市民としての発言」は、「オバマ個人の視点」であり、政治的パフォーマンスとして、シニカルに見る有識者もいます。
- NY Timesは、「オバマのイラクとアフガンの政策に関して、ドイツ政府とパブリックは、ポジティブ過ぎるリアクションだ」という指摘して、オバマがドイツで人気があるのは、「オバマがブッシュではないから」だと「アンチブッシュとしてのドイツ」を説明しています。
このスピーチの時に、対するMcCain(マケイン)は、オハイオ州のドイツビレッジにあるドイツレストランで、「マケイン流のドイツ経験」を行っています。彼は、「自分は大統領になってからドイツでスピーチを行なう。今は、石油価格と物価の上昇など国内で山積している問題に取り組むことが重要」と、オバマのベルリン・スピーチを強烈に皮肉っています。もちろん、彼のコメントは、多くの米国民が確かに感じていることで、彼のアプローチは決して間違っていません。ただし、ここでわざわざ同じ日にドイツレストランに足を運んで、オバマを批判することによって、メディアや一般の関心を買おうとする態度が、大統領候補として何とも情けない、そんな反応が聞こえてきます。YouTubeのマケインのヴィデオを見て、「即座にマケインのキャンペーン戦略家を首にすべきだ」というコメントもありましたが、私も同感です。
昨日のエントリのヴィジュアルインパクトではありませんが、このマケインのドイツレストラン訪問とオバマのベルリンスピーチの差は歴然としています。マケインには、オバマが予備選の候補者として勝利した6月3日に、「Green Monster(ライムグリーンのバックグランドのステージでさえないスピーチをして多くの失望を買った)」と呼ばれる舞台設定をミスったスピーチもあります。マケインキャンペーンは、真剣に彼の良さを演出するやり方を考えないと、こうしたミスはボディブローのように、彼のイメージを弱体化させます。共和党には、まともにマーケティングの見地からものを考えられる人はいないのか?と、私は大いに驚いています。

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