土曜日は、夫と2人で竹芝桟橋から東海汽船の高速ジェット船に乗って、母の故郷、伊豆大島に日帰りで行ってきました。昔は、夜遅く竹芝から出て、時間つぶしのために東京湾沖で停泊して、早朝大島に着くパターンでしたので(今でもあります)、大島への日帰りは生まれて初めてです。
東京の自由が丘で生まれた私は、夏になると必ず祖父母の住んでいた伊豆大島に、弟と2人で送られて、子供時代の夏を過ごしました。オムツをしている時から、「海に放られて(島弁です)」、ゴツゴツした溶岩だらけの岩場で泳ぎを覚えた私にとって、伊豆大島は「故郷」とも言うべきところで、この海がなかったら、今の私はない、そう思っています。まだ、サザエやトコブシを許可なく採っても大丈夫な時代で、私は腰に貝を収納するネットをぶら下げて潜り、弟は「突きん棒」と呼んだ小さな子供用のモリを手にして潜って魚やタコを採り、祖母に夕飯のおかずとして毎日持ち帰ったことを思い出します。朝から晩まで泳いでいた私たちは、唇を紫色にしながらも、「寒くない」と言って、帰るのを嫌がったものです。
そんな思い出の大島で、私の最も好きな浜、「王の浜」へ海岸沿いづたいに、夫と行ってきました。夫は、大島は東京湾にあると思い込んでいたので、いきなり太平洋の海が目の前に広がり、まだまだ自然がそのまま残っている大島に大いに感激したようでした。私が「王の浜の」の波が打ち寄せる岩礁に走るように駆け寄って、思わず海水を救い上げて「おいしい、昔と同じ味がする」と叫んだ時、夫は唐突な私の行動にびっくりして、飛び込むのかと思ったそうです。大島の海は、井上陽水の「少年時代」の歌のように、私を一気に「夏の少女時代」に引き戻し、大いに感慨にふけってしまいました。
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その後は、観光客とは縁遠い母の生まれた野増村で、母の実家のチェックや先祖の墓参りをして、隣の家の人や昔馴染みの魚屋さんとおしゃべりをしました。野増に来て驚いたのは、2つありますが、1つは海の見える墓所の裏に「御神火」という焼酎を製造販売する谷口酒造が、「ツバキ城」と呼ばれる製造所を作ったことです。屋根の上に芝生やツバキを植えた、非常に変わったカタチの建物で、私も夫も「これは何なんだ!」と叫んだくらいです。後でオンラインで検索したら、建築史家の藤森照信氏の設計で、ここで焼酎の試飲もできるようです。母に電話で確認したら、この谷口酒造も遠い親戚にあたるそうです(この島では、ほとんどが何らかのカタチでつながっているので、私には説明出来ません)。
もう一つは、かつての駄菓子兼タバコ屋さんの家だったところが、フランス語で「世界で一番小さな美術館」と書かれた小さなギャラリーに変身していたことです。ここも、「ツバキ城」と同様に休みだったので、中には入れませんでしたが、外から見ると備前焼きぽいアートが並んでおり、野増村らしくない洗練された感じでした。夫と2人で、なんかサンフランシスコベイエリアから南に下ったアーティストが住むBig Surみたいだと思うほど、過疎化のひどい大島らしくない風情でした。これも後で母に聞いたら、私たちがよく知っている前の世代が亡くなってその子息がアートをやっているということでした。
島内の移動はレンタカーで、波浮の港(大島の高校の練習船が目立っていました)や岡田港に行って、いったん元町まで戻って、お昼は「かあちゃん」という名前のレストランで「磯ラーメン」を食べました。海老、イカ、さらにサザエが入っているラーメンはおいしく、ほとんどの日本食はOKな夫ですが、サザエだけは食べられず、私はサザエのつぼ焼きプラス、夫の残したサザエまで食べて、ヤッホー状態でした。夫も初めて食べるシーフードラーメンに大満足で、これを食べてにまた来ると意気込んでいます。「御神火」と呼ばれる活火山三原山に向かいましたが、あいにくのひどい霧で視界がかなり悪く、途中までのぼって、結果引き帰すこととなりました。子供の頃は、夜になると三原山から噴出す噴火を花火のような気分で眺めた私は、ぜひ「御神火」を夫に見せたかったのですが、これは次回にまわします。
母の親戚には、この「御神火」を祀る野増の大宮神社の代々の神主や、三原山の火口付近の茶屋を代々経営する親戚もいます。そんな縁もあり、母は10代の頃今でいうプロモーションガールとして、アンコさんの格好で、伊豆大島の観光キャンペーンで、京都や他の地域を巡業したそうです(アンコさんの踊りは、YouTubeにあがっていました)
元町の港の前の小さなジャズ喫茶で(Zenという名前で、物凄くおいしいコーヒーとたくさんのLPがありました)、帰りの船を待っていましたが、大島のこのスローなペースは本当に心が静まるようで、これは今後もなくなって欲しくない部分です。野増で見たように、こだわりを持つ職人やクリエイターがこの地で好きなことをして、生活が出来たら、最高だと思います。温泉もあり、海の幸は豊富ですし、地元の焼酎やアートもある、確かにBig Surのような隠れ家的な場所なので、もっと島民の生活も潤うコトが可能な工夫が出来れば、いいなと思います。
私は、次回は必ず泊まって、「王の浜」で日がな一日泳ぎます。
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